初期牌理(1)
3シャンテン以下の手牌における牌理の難しいところは手役の価値をどの程度考えるかです。 というのも、受け入れが少なくなっても鳴きを考えるとテンパイまでのスピードが逆転することが考えられるからです。
ここでは結論をなるべく明確にするため、メンゼン効率で議論することにします。
初期牌理として、まず浮き牌が何枚かある段階の手牌を例に挙げます。
例1 ツモ⇒切り
孤立牌がある場合、残っている孤立牌の機能を比較すればよいでしょう。
ここでは
がメンツ・ターツ・トイツのいずれでも当たらない孤立牌です。
最も機能の低い牌は言うまでもなくです。
にはを引いてトイツ・コーツにつくる力しかありません。
シュンツをつくることができる数牌の方が価値が高いのは明白です。
したがってここで切る牌はしかありません。
別にを切ってもそれほどロスがあるわけではありませんが
「 を引き、かつ を引かない場合」にメンツを1つ失敗するわけですから、 を切る理由はどこにもないでしょう。
例2 ツモ⇒切り
切りでも全く問題ありません。
しかしこの手は
か
どちらを引いたとしても
を切る手です。
つまり、字牌と同じく重ねる以外使い道がありません。
それならば、次巡早いリーチがかかった場合に を落とせるし重なった場合でも後に安全牌として2枚落とせる分、若干ではありますが の方が価値のある牌ではないでしょうか。
セオリー・まとめ
孤立字牌は最も面子になりにくいパーツなので、
役のつかない風牌があれば、それを切ることが絶対的に正しい。
ただし、著しく不要な数牌がある場合、
のちの守備を考え数牌から切る手もある。
例3 ツモ⇒ 切り
孤立牌が4種あるので、最も価値の低いものを切ります。
数牌は 1・9 < 2・8 < 3~7 の関係ですから、
が不要牌の筆頭です。
このどちらを切るかはそれほど重要なことではりませんが、
スジの牌 があるので を両方引いてきてもロスにはなりません。
を切った場合 を両方引くとメンツが1つロスになります。
したがって から切るのが定石です。
例4 ツモ⇒切り
孤立牌は の3種類。
メンゼンリーチ効率なら役牌であってもです。
しかしこのレベルの苦しい手であればを重ねた場合の
鳴きによるスピードUPは無視できないでしょう。
以外にも不要牌がある手牌です。役牌を切ることはありません。
は をフォローする牌がないので残す。よって残るはピンズ。
それぞれスジの があるのですが、
で はメンツに組み込まれています。
を切った場合
「を引いて、かつを引かない場合」にロスをしますから、が最も価値の低い牌です。
例5 ツモ⇒切り
同じ数牌の比較であれば、連続形を残すべきです。
同じ老頭牌(1、9牌)であっても1枚とび連続形は孤立老頭牌よりも 受け入れ・好形変化ともに優れています。(第1章 4枚複合形)
また、通常メンツ手において孤立老頭牌はトイツ・ターツより必ず劣ります。
(もちろんホンイツなど手役がからむ場合は除く)
などに手にかけるのはかなり不利な選択です。
セオリー・まとめ
牌理的にみて、孤立老頭牌はあらゆるターツ・トイツより価値が低い。
例6 ツモ⇒切り
例6は の比較です。
ポイントは今引いてきたで、
を切ったあとにを引いてきてもカンチャンターツをつくることができます。
しかし
を切った後に
を引いてきてしまうと完全なロスです。
孤立牌をスジで持つのはやはり不利なのです。
(第2章 浮き牌の理論)
と
はどちらを切っても大差のないレベルですが、
切りは完全な悪手です。
7の牌が8の牌よりも優秀なのは麻雀の常識です。
この場合イーペーコーがあるので、手役面でも大きな損となります。
なぜかこの形で持つことに抵抗のある人がいるのですが…
例7 ツモ⇒切り
暗刻との4枚連続形の扱いで注意したいのは、手牌にトイツが2つ以上ある場合です。
もう雀頭は必要ないので、この連続形から二面子つくることを想定しないといけません。となると、かなり面子を作りにくいことがわかります。
は薄く を引いてもかなり苦しい形です。
むしろ孤立している の方が 引きに期待できる分優秀といえるでしょう。